KEY-NOTE通信
クラリネットの歴史
童謡「クラリネットこわしちゃった」などでも取り上げられ、誰もが知るクラリネット。今回はその歴史を少し紐解いてみたいと思います。
クラリネットは木管楽器の中でも比較的新しい楽器で、18世紀初め頃にドイツの楽器職人デンナーが、フランスで生まれた「シャリュモー」という、リコーダーのような楽器を改造し製作したことに始まります。現在のクラリネットにも「シャリュモー音域」と呼ばれる音域があります。
キーが付いていないシャリュモーは低い音域を得意としましたが、クラリネットはキーを取り付けてその数を増やし、穴の位置も変えることで、シャリュモーとは比べものにならないほど音域が広がりました。その音色が、昔の高音トランペットである「クラリーノ」に似ていたため、「クラリネット」と名付けられたと言われています。その後、ヨーロッパ各地に広がる中で楽器と共に演奏法も発達していきました。
かのモーツァルトがこのクラリネットの噂を聞きつけ、魅了されてしまったことは有名な話です。
ウィーン初のクラリネット名奏者として活躍していたシュタードラーと出会い、モーツァルトは彼が奏でる美しい音色に惚れ込んでしまいました。そしてシュタードラーに相談しながら、クラリネット協奏曲やクラリネット5重奏曲という傑作を晩年に生み出したのです。
その後19世紀に入り、クラリネットは大幅に発達しました。
当初2つのキーのみだったクラリネットは、ドイツ人のミュラーによって13個のキーが付いたクラリネットに進化しました。この楽器は後に「エーラー式」(ドイツ管)と呼ばれる楽器に発展しました。今もドイツやオーストリアで主に使用され、温かみとすこし暗めで艶やかな音色を持つクラリネットです。
その独特な音色から、ベルリンフィルやウィーンフィルといった伝統あるオーケストラのクラリネットパートも、ずっとこの「ドイツ管」を使用しています。
一方、フランスでは1840年頃にクラリネット奏者のクローゼが楽器職人ビュッフェと協力し、フルートのメカニズムでもある「ベーム式」のクラリネットを発明しました。
この「ベーム式」(フランス管)は華やかで明るい音色を持ち、
使いが分かりやすく、音程が安定しているので、フランスをはじめ日本やアメリカなど世界各国で使用されています。
しかし、近年ではこの「ベーム式」の運指機構を取り入れた「エーラー式」クラリネットが作られたり、「エーラー式」のような音色を持つ「ベーム式」クラリネットが作られたりと、それぞれの良い部分を取り入れた新しいクラリネットが生み出されています。
また、クラリネットには多くの種類が存在し、ピッコロクラリネット(エスクラ)、アルトクラリネット、バスクラリネット、コントラバスクラリネットなど様々なサイズがあります。
現在クラリネットの音域は木管楽器の中では最も広く、何と3オクターブ半以上を誇ります。
素朴でありながら独特な音色をもつクラリネットは、オーケストラ、吹奏楽、室内楽だけでなくジャズの分野でも活躍し、その音域の広さと表現力の豊かさゆえ、メロディを吹く事も多い、主役級の楽器です。
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